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  また優しい心に出会えました・・・


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ゆうきさんからのメール(5/'99)
よっちゃん先生(7/'99)


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ゆうきさんからのメール(5/'99)

 ある日、1通のメールが届きました。
これは、私のヘタな言葉で代弁するよりも読んでいただきたいと思い、
ゆうきさんに無理にお願いして、そのまま転載させて頂く事にしました。
ゆうきさん、ありがとうございます。(*^-^*)


 はじめまして。神奈川県のゆうきといいます。大学生の女の子です。

我が家にも2年前の4月から黒ラブの女の子がいます。
8年3ヶ月の間、アイメイトとしてお勤めをしたリタイア犬です。

2年前の4月29日、それまでの家族との涙の別れをして、
車に揺られて我が家にやってきたとき、ベラはすっかり遠足気分で、
家中(2Fまで)小走りで、尻尾をぶんぶん振り回しながら
探検しました。
しばらくして落ち着くと、やっと「あれ?」という顔をして、
きょろきょろとしつつ、ダウンしました。
犬ながらに何か感じたのでしょうか。
それ以上の事はありませんでした。

あれから2年。その間、藤沢市の動物愛護の集いで、功労賞を受賞し、
その際に元のご主人との再会を、果たし、
そのご主人の新しいアイメイトとの出会いも経て、
大きな病気一つもせず、大きなけがの1つも負わず、
体力の衰えは多少は感じられるものの、まだまだ遊ぶの大好きで、
ボールを追って飛び跳ねつつ元気に元気に(一日の3分の2以上は寝て
いるものの)我が家で幸せ(うん、多分)な余生を過ごしてくれて
います。
今はもう我が家になくてはならない、10年も一緒に生きて
きたような気さえする、大事な大事な家族。
みんなの心の支えです。
食いしん坊で甘ったれ。一日のうち起きている3分の1は、
食べる事と、人が食べている物のオネダリ(却下されてもめげずに)と、
遊べー、かまえー、なでれーと、オネダリの手を出しつつ、
ボール遊び、プロレスごっこ、ねぇねかにぃにのおひざに頭を乗っけて
なでなでされつつクウクウ甘え……と、忙しい(?)日々を過ごして
います。郵便やさんにも、宅配便のおじちゃんにも、みんなに愛想を
振りまき尻尾を振り回し……。「わたしベラちゃんよ。わたしベラちゃんよ」と、
必死の自己紹介。玄関のピンポンには人間より早く反応して、
「いらっしゃい。なぁに?私ベラちゃんよ」……と、すでに半分お仕事か?
ってな状態です。

もうすでに12歳。目も耳も、衰えている事は確かです。
でもまだ、大丈夫。名前を呼べば、頭をもたげて「ねぇね?なあに?」
壁の陰から顔をだして覗いてみれば、「ねぇね?そんなとこにいたの?
暇そうね?暇ならベラちゃんのことなでて」と、反応します。
絶対に(寝言以外では)吠えないし、甘ったれだけど、
言う事聞くし、とってもおりこうで社交的。
でも、そろそろだんだん只の犬になってきたね、と、近所のおばちゃんに
も言われている、今日この頃。

そんなときに、KEIRU君のページを読みつつ、「ああ、違うなあ。
ベラもこんな事してたんだあ。今はまるでただの犬みたいな顔してても、
こんなに頑張ってたんだね」と、感動している私。
そんな私の気も知らず、すぐそこで、グウグウ寝息(殆どいびき)を
たてて寝ているベラ。
でも、それでいいんですよね?今はただ、ゆっくり休んでくれれば……。
それで少しでも元気で長生きしてくれるといいなあ。
引き取ることが決まった時、「今まで神経すり減らして仕事してきたし、
もう10歳で、大型犬は寿命も短いから、もって2〜3年だよ」
って言われました。

でももう2年。全くの健康体。うれしい誤算です。
もともとがおっとりした性格なのが幸いしたのでしょうか?
広く平らな頭ではなくて、ラブにしては規格外のまあるくとんがった頭の
てっぺんに、垂れ目垂れ耳がなんともマッチしていて、KEIRU君とは
違ってとてもとてもこわもて、とは言えず情けない顔。
その顔のとおりの性格。でも元気で食いしん坊。人にひどい目に
あったことがないんでしょう。人間に対する絶対的な信頼感。
寄っていったら何かされるかも、ではなく、寄っていったらなでてくれる、
という安心しきった尻尾。中には犬が苦手な人もいるのよ?
あなたは黒くて大きくて一瞬こわいんだから。などと説教しても
どこふく風。人間も犬もみいんな友達。それを見て、
ああ、大事にされてたんだね、と思う私。
なんでこんなに人の心に敏感なんだろう、と思うほど人の心のわかる犬。
自分もとっても敏感で、愛情たっぷりにかまってもらってるときは、
本当に幸せそう。あられもなくひっくり返っちゃったりして。
逆に怒られた時はほんとに、キューンキューン、て声が聞こえてきそうに
耳を伏せて上目遣い。人と心のやり取りするのも、愛情のやり取りする
のもとっても上手。犬って不思議ですね。

しゃべれないのに、ほえることもできないのに、ちゃんとメッセージの
やり方を心得ているんですね。
KEIRU君の写真を見ていると、ああ、一緒だね、って思います。
とっても表情豊かで、人に対する信頼感がからだ中から溢れてて……。
KEIRU君のことを読んでいると、引退してからはじめて出会ったベラとの、
その前の空白が私の心でどんどん埋まっていきます。

ながくなりましたが、これからもずっと愛読させていただきたいと
思います。

最後に、山本さんと、桃さん、そしてKEIRU君に
心からエールを送りたいと思います。
FIGHT!


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よっちゃん先生(7/'99)

 山本くんとKEIRUが訪れた小学校に、山本くんの幼なじみのよっちゃん
先生になって在籍していました。
よっちゃん先生が、訪問の感想を、学校便りとして書いて父兄に配ったそうです。
それを、転載させていただきました。


     心に残った山本さんのお話!
 昨日のふれあいタイムに、全盲で盲導犬の『ケイル』と共に生活している
山本さんのお話を伺うことができました。彼は私の同級生で、実家も100Mも
離れていない場所に住んでおり、小さいころからよく存じあげておりました。
 彼は生まれつき全盲だったわけではなく、二十歳過ぎまでは普通の生活を
営んでおりました。(ただし片目の視力は小さい時に眼球を傷つけてしまい、
ほとんどなかったようです)ですから、しだいに視力が失われていくなかで、
想像を超えた不安や恐怖・悲しさなどが、彼を包み込んでいったのだと
思います。
 しかし、十数年ぶりに会った彼には、つらさや悲しみを感じさせるものは
みじんもなく明るく生き生きとした姿が、とても印象的でした。
彼の持ち前の明るさや頑張りがそうさせたのは当然でしょうが、『ケイル』という
最高のパートナーに出会い、また、家族や彼を取り巻く優しい人々に支えられ、
こんなに明るくふるまえるのだと思います。
 そんな彼のお話の中で、いくつか印象に残ったことを少しだけ・・・

     ケイルとのつき合い方から・・・
 盲導犬は、どうして主人の言うことを聞いてくれるのでしょう。
そのように訓練されていると言ってしまえばそれまでですが、犬だって
感情のある動物です。主人との信頼関係がなければ、上手なコミュニケーションは
取れません。盲導犬とのつき合いの中で、一番大切なことは、うまくできた時に
ほめてあげることだそうです。
 私たちだってそうですよね。どんな小さなことだって、ほめられれば嬉しく
なるし、また頑張ろうという気持ちにもなります。大人だってそうなのですから
子供たちはなおさらですよね。そして、ここで大事なことは、あたり前の
こともしっかりほめてあげることなのだそうです。
「こんな事できて当たり前」ではないのです。当たり前のことができる
事がすごいのです。人はひとつのことができると、すぐに欲が出てきます。
這えば立て、立てば歩めの親心とよく言いますが、歩けるようになると、
はいはいしてようやく自分のところまでたとり着くことができた時の感動が
薄れてしまうのです。今当たり前のように歩いている事が、実は何度も
転びながら、やっとの思いで歩けるようになった事を忘れてしまうのです。
 日本人は、外国の人達に比べてほめる事が下手だとよく言われます。
下手にほめ過ぎると、お世辞としてとらえられたり、何か裏があるんじゃ
ないかと思われたり・・・
 昔からの国民性という事もあるでしょうが、もっともっと、子供たちを
ほめてもいいと思います。親になると、子供のいい面よりも悪い面の方が
目についてしまいますが、これは、もっとよくしたいという気持ちの
あらわれですよね。でも、先程の話のように、普通に歩けたり、トイレに
行けたり、ご飯をこぼさずに食べられたり・・・という事が、何度も
失敗を重ねながら獲得したものだと思えば、子供に対する見方や接し方が
変わってきますよね。もっともっと、子供たちの良い点を見つけてあげましょう。
そしてそのことを、大いにほめてあげましょう。私も子供たちの良い点を、
これからもどんどん見つけていきたいと思います。

     山本さんのお話パート2!
 昨日は、ほめることの大切さについてお話しましたが、もう少しつけたしを
していきたいと思います。子供に接する時は、その子の良さや頑張りを
ほめることはもちろんですが、悪いこと(間違ったこと)をした時は、
やはりしっかり叱る事も大切だというのです。
(盲導犬の首輪は固定されていると思っていたのですが、実は、手前に
強く引くと輪が小さくなり、首が締まるような構造になっていて、主人の
指示に対して間違った行動をとると首が一瞬苦しくなり、その間違いに
気付かせるのだそうです。)
 このように、悪い事は叱り、頑張った事については大いにほめるという、
当たり前の事ですがとても大切な基本を、あらためて教えていただいたような
気がします。子育ての際にも、この二つの事がバランスよくできる事が、
大切な事なのではないでしょうか。

    目の大切さを体験してみました
 自分たちが健康な状態にいる時、そのことについて強く意識はしていないと
思います。しかし、ちょっと怪我をしたり病気になったりすると、健康だった
頃の自分がとても幸せだった事に気付くはずです。
 子供たちは山本さんに出会い、話を伺うまでは、自分たちの目が見える事が
当たり前に感じていたはずです。そこで、子供たちにハチマキで目隠しをして
学校の中を歩いてみる事にしました。当然子供たちは何も見えませんから、
数メートル歩くだけでも怖くて大変です。ですから次には二人でペアを組み、
目隠しをしていない子は、『ケイル』の立場で、目的地まで誘導することに
しました。結果は・・・。

     『ケイル』ってすごいんだね!
最初は相手の手を持って歩き出す子供たち。ところが、ドアなどの狭いところ
では、自分だけ通り抜けても、目隠しをした子は手がぶつかったり、
身体がぶつかったりしました。歩くスピードも恐る恐るで歩いている相手の
事はおかまいなし。普段と変わらない速さで歩くので、見ている私の方が
ハラハラしてしまいました。
 更に、(今度は手もつながず、声だけで誘導させたらどうなるのか)
やってみる事にしました。すると子供たちは「こっちこっち!!」とか、
「こっちじゃなくて、あっち!」「右右、あっ違った左だ!」「そっち
そっち、あっダメ・・・」みんなこんな感じでした。
 目隠しした方も「そっちってどっち?」「こっちでいいの?」「どっち
に行ったらいいのかわかんない・・・」もうお互いがほとんどパニックです。
 この活動を通じて子供たちは、『ケイル』のすごさを感じ、山本さんと
ケイルが強い信頼関係で結ばれている事に気付き、目が見えるという事の
喜びをほんのすこしだけ、頭ではなく身体で理解できたのではないでしょうか。
 今回、山本さんのお話を伺うことができて、子供たちだけでなく私自身、
ちょっとだけ何かが変わったような気がします。つたないお話を最後まで
読んでいただき、ありがとうございました。
(今度の参観日で、皆さんもやってみませんか?)


Thanks to Yoshihiro YAMAMOTO


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